寿司工場

音楽とかアニメとか

【和訳+解釈】brakence - 5g

open.spotify.com

初めに

文章書く練習になるかなと思ったので、僕の好きな曲の和訳を作ってみます。

今回取り上げる曲はbrakenceというアメリカのアーティストが書いた「5g」です。この曲は去年の暮れに出たアルバム「hypochondriac」に収録された曲で、ドリルっぽいドラムとemoっぽいギターリフが絡み合っていてカッコイイ曲です。またところどころに挿入されるサンプルや声ネタが、まるで何かの考えに取りつかれている脳内の様です。

brakenceはいわゆる「ハイパーポップ」シーンの有力なアーティストとして評価されていて、ギターや生音のドラムのようなバンドサウンドと位相がバグり散らかしたようなサンプルを使ったビートメイクが特徴的です(素人の自分がこんな風にまとめていいのか?)

 

この曲の歌詞には

  • インターネットをはじめとしたメディアや科学技術に対する不信感
  • 楽家としての過剰な自意識
  • 旧友やパートナーとの断絶

などなどいろいろなテーマが含まれています。音韻もかっちりハマっているので是非原文の歌詞もじっくり読んでみてください。

個人的に面白いと思ったのが「悪魔」や「煉獄」といったキリスト教的なメタファーが多用されているところです。インターネットがテーマといえどアメリカの曲ですね。

おそらくタイトルの5gは5G回線と単位のグラムを掛けています。

和訳

[Chorus] x 2

Baby, don't be my crutch when this shit*1 get gory
Got that radioactive touch, I'm from purgatory, she heard the story
I've been wearin' a demon, I've barely been eatin', I'm
Scrollin' all night, that's why I can't get to grieving

ベイビー、僕が残虐になってしまうとき、無理に僕の支えになろうとしないでくれ

放射能みたいな手触りを身に着けた、煉獄から来た存在である僕を

僕は悪魔に取り憑かれている、もう何日も食べていない

夜通しタイムラインをスクロールしているせいでロクに悲しむ暇すらない

(繰り返し)

crutchというのは松葉づえを指す英単語らしいので、be my crutchで支えとするという意味かなと思いました。

*1 おそらくここでのthis shitは自分自身や自分の内にある暴力性のことを指しているんだと思われます

[Verse 1]

Break it all down, like what does it mean to me? (Exclusive)
I got in this position so damn easily*2
Think I got good intentions, I got decency
But am I really a good person when I need to be? I need to bе

バラバラに分解したところでなんの意味があるっていうんだ?(exclusive)

僕はいとも簡単にここまで上り詰めた*2

僕が善意と礼儀をわきまえている思ってるみたいだけど

良い人でいる必要があるとき、僕は本当にそうできているだろうか

*2 のぼり詰めるというのはインターネット上での評価の事でしょう。たしかにbrakenceはこのシーンではめちゃくちゃ評価されています。

He*3 put me on a pedеstal and liked nine tweets
I'm gettin' this tightness in my chest that make me grind my teeth
So I'ma just take another edible and go 5g
Old friends, they hate me now, I'm never gonna find my feet

彼*3は僕を台座の上に載せて、9つのツイートにいいねをつける

僕は僕特有の窮屈さを胸の内に抱えていて、そのせいで僕は歯ぎしりする

だから僕はedible(経口摂取できる大麻)をキメて5Gにつながるんだ

昔の友達はもう僕の事なんか嫌いだ、だから一生地に足のついた感じがしない

*3 ここでの「彼」というのは自分自身の事でしょうか、いまいち解釈しきれていません。なんとなく儀式的な意味合いがある気がします。

薬物、特に大麻の使用に関するリリックはこのアルバム通して散見されます

[Pre-Chorus]

Always puttin' myself above you to feel important
No, I'm never gon' take that dub, I can't be rewarded, go re-record it
I've been wearin' a demon, I've barely been eatin', I'm
Scrollin' all night, that's why I can't get to grieving

いつも君の上に立つことで何者かであろうとしてきた

その録音データはいらない、僕が報われない、もう一度録音する

僕は悪魔に取り憑かれている、もう何日も食べていない

夜通しタイムラインをスクロールしているせいでロクに悲しむ暇すらない

[Chorus] 

Baby, don't be my crutch when this shit get gory
Got that radioactive touch, I'm from purgatory, she heard the story
I've been wearin' a demon, I've barely been eatin', I'm
Scrollin' all night
Oh, don't be my crutch when this shit get gory
Got that radioactive touch, I'm from purgatory, I'm—
Nah, never gon' need your love, I can't feel supported
Got this feelin' in my gut, dread it every morning
Heat distortion, it's—

ベイビー、僕が残虐になってしまうとき、無理に僕の支えになろうとしないでくれ

放射能みたいな手触りを身に着けた、煉獄から来た存在である僕を

僕は悪魔に取り憑かれている、もう何日も食べていない

夜通しタイムラインをスクロールしてい―

ああ頼むから僕自身から、君自身を守ってくれ

僕は本当にダメなやつなんだ、僕は―

もう君からの愛なんていらない、誰かから守ってもらうことはできない

あの感情が腹の中で渦巻いているんだ、毎朝が怖いんだ

まるで熱膨張みたいな、それは―

コーラスを繰り返していますがところどころ歌詞が変わっています

言い切る前に次の文章が始まってしまう感じが、思考を言葉でかき消しているみたいでgood!

[Verse 2]

(Eyes on a phone)
Reason to get my head out of shit I regret
(Eyes on a phone)
Read me in overtime and it's nothing but net
(Eyes on a phone)
Yeah, feast on an open mind, I can't budget the feed
(Eyes on a phone)
They're farmin' our attention for a buck, like are you people?
(Eye, eye, eye)
They're using eyes like a resource
That's when I start to think we're fucked, there ain't no recourse
I profit off keystrokes, playin' into it, fillin' my plate
Unstoppable heat source, burnin' off any minute I take it


And when I die, I hope I'm buried in a forest
That is if any of it's left, this shit is torrid
For now, I'm using up my gift to write a chorus

スマホを見る)

後悔していることを頭から追い出す理由

スマホを見る)

残業時間に読むのは、インターネットだけ(?ここは何言ってるかわからない)

スマホを見る)

あけっぴろげの僕の心に食らわせる拳、feedに払うお金はない

スマホを見る)

あいつらは俺たちの興味関心を操ってお金を儲けてる、人の心なんてない

(見る見る見る)

あいつらは目(興味)を財産みたいに扱う

僕たちがもうだめになったのはちょうどその時だ、頼れるものなんてない

僕はキーボードをたたいて利潤を出している、そういう構造を助長する側なんだ、皿をいっぱいにするために(=お金を稼ぐという事?)

これは制御不可能な熱源だ、持てる時間全てを燃やしつくしてしまうような

 

そして、僕が死んだときは森にでも埋めてくれ

少なくとも何かが残ればの話だけれど、もうカラカラだよ

とりあえず今は、僕の才能でもってこの曲(chorus)を書き切るから

メディアに対する不信感が前面に出ているバースですね。(Eyes on Phone)と繰り返すところがお気に入りです。

[Pre-Chorus]

Always puttin' myself above you to feel important
No, I'm never gon' take that dub, I can't be rewarded, go re-record it
I've been wearin' a demon, I've barely been eatin', I'm
Scrollin' all night (Ahh)

いつも君の上に立つことで何者かであろうとしてきた

その録音データはいらない、僕が報われない、もう一度録音する

僕は悪魔に取り憑かれている、もう何日も食べていない

夜通しタイムラインをスクロールしているせいでロクに悲しむ暇すらない

[Chorus]

Baby, don't be my crutch when this shit get gory
Got that radioactive touch, I'm from purgatory, she heard the story
I've been wearin' a demon, I've barely been eatin', I'm
Scrollin' all night, that's why I can't get to grieving (Break it all down, like what does it mean?)

ベイビー、僕が残虐になってしまうとき、無理に僕の支えになろうとしないでくれ

放射能みたいな手触りを身に着けた、煉獄から来た存在である僕を

僕は悪魔に取り憑かれている、もう何日も食べていない

夜通しタイムラインをスクロールしているせいでロクに悲しむ暇すらない(バラバラに分解したところでなんの意味があるっていうんだ)

[Bridge]

They're layin' waste to a new biome
To make a case for the new iPhone
The waters laced and they know I know
Wearin' a demon, I can't get to grieving, I—

あいつらは廃棄物を新しい土地(バイオーム)に埋めている

新しいiPhoneのケースを作るために

水は汚染されている、僕もあいつらも知っている

僕は悪魔に取り憑かれている、もう何日も食べていない

ここの韻めちゃくちゃきれいですね。

biomeは一般名詞ですが、new biomeと書いてあるのでおそらくMinecraftのバイオームを意識していると思います。

[Outro]

(Hollywood) Can't get to grieving, I
Gotta repeat it, I (Just give up)
(Hollow) Too busy dreaming (Just give up)
Part of my (No), that's why I can't (Just—), that's why
A hypochondriac, I think of you, blood pressure spikes
I'll have a heart attack, the things I do—

(ハリウッド)悲しむことができないんだ、俺は

何度も繰り返している(諦めたよもう)

(からっぽ)夢を見ることで忙しんだ(諦めたよもう)

僕の一部が(ちがう)だから僕は(ただ―)だから

心気症患者、君のことを考える、血圧がスパイクする

きっと心不全でもおきるんだろう、自分がしたことを思い返す......

この曲が収録されているhypochondriacは曲と曲がシームレスにつながります。なのでアウトロでは次の曲の雰囲気がすでに流入している感じですね。アルバムのタイトルであるhypochondriacは心気症患者という意味らしいです。

おわり

以上で終わりになります。全然間違ってる場所あったらコメントかなんかで指摘してもらえると助かります。

参考文献:

​brakence – 5g Lyrics | Genius Lyrics

音MAD-mix作って流してもらった

12/11に秋葉原のMOGRAにて開催されたリアルイベントnerdtronics2にて自作の音MAD-mixを流してもらったので、その編集後記としてこの記事を書くことにした。既にmixはニコニコ動画に投稿したのでまだみていない人は是非。

この記事は音MADアドベントカレンダー2022に参加しています。

参加の経緯

今年の8月に主催の一人であるowataxさんからお誘いを貰い、迷わず参加を決める。

10月にやった顔合わせの食事会で参加者の人といろんな話をする。特に主催の一人であるEstlさんとVaporwaveとかSeapunkとかdariacoreとかの話ができたのが楽しかった。

自分の広い意味でのサンプリング音楽に対する興味をうまいこと昇華できないかなと考えた。

セトリ解説

walkingsushibox.github.io

タイトルはリズと青い鳥OSTアルバム「girls,dance,staircase.」のパロディ。ぜんぜんリズと青い鳥出てこないけど女の子いっぱい出てくるのでいいかなと。

nerdtronicsという「ちょっと秘めた趣味に関するオフラインイベント」ということで「みんなのひみつ」という言葉をつけた。

Aパート

Aパートはドラムンベースを基軸にごった煮感を意識した。

crasher tears you up

  • キーボードクラッシャーの叫び声ってY2KだしHyperpopだなという感覚があったでそういう方向性のeditをした。ストレスの表出としてのdariacoreと中学生のキレ芸にかなり近いものを感じる。
  • DC offsetかけまくったベースがいい感じに狂った鳴りをしていてよかった。
ブレイクでビーツな日常 + 出てって下さい でってってっ

  • ドラムンベースのグルーヴをここらへんで作りたかったのでブレイクス主体の曲を選出した。
  • ちゃんみおの叫び声がKBCの叫び声からシームレスに繋がっていて面白い。
ぴゃーめんぶれいくは鳴り止まないっ! + タンスの中が気になるあの子

  • 原曲がどちらも邦サブカル?ロック。タンス~はピッチ+1した。
ダメよ〜パノプティコンなんて + サビがなかなか始まらない炉心融解

Paprika in the Underground

  • マジで流したかった音MAD、変拍子に切り替わるところで会場めちゃくちゃ湧いてましたね。
37564 feat. 4649nadeshiko by Foxxy Dekay

セイキンのメリークリスマス

  • 一つ前の曲とキーが完全に合ってるので使った。あとイベントがあった日に坂本龍一の配信ライブがあったらしいです。なんたる偶然。

    special.musicslash.jp

バーモントキッス + Everything All At Once + Kizuone + MORRIGAN - Feline (じゃかじゃんMix)

 

  • 37564のドロップのアーメンがBPM落としたときに音質が悪くなってしまうので、あえてキーを変えた原曲に差し替えた。足りなくなるパーカッシブな要素の補完として、じゃかじゃんMixを混ぜた。けいおん!!最近見たけど面白かった。
  • Kizuoneはリード以外使わないのでEQで低域全カット。Everything~はキーもあってるし好きな曲なので中音域補完用に入れた。
  • 全体にフィルターを掛けて徐々に開いていくのはowataxさんのアイディア。他にも色々とタメになるアドバイス貰いました。ありがとうございます。
Bパート

自分なりの光の音MAD?みたいな感じ

こなたの回廊

  • BPMをここで更に落として(145->110)Bセクションの始まり。このMIXでは主に3回ほどBPMが切り替わる。
色々な素材で四畳半神話大系 + 街に出て何をしろというのか

  • ラップ調の音MADをセリフだけ抽出して別の動画に乗せるというのやりたかったので出来て嬉しい。四畳半神話大系も最近見たばっかなので私的激アツマッシュアップになった。
  • YTPMVの原曲よりもやや粗めのダイナミクスがいい感じの箱鳴りで良かった。
  • よく考えたらこのセット 気になるあの子、バーモントキッス、神様のいうとおり とやくしまるえつこが関わっている曲が3曲も入っている。やくしまるえつこさんのことが好きすぎるかもしれない。
色々な素材で四畳半神話大系 + うらおもてのラバーズが!

綾波の声だけでエレクトロニカ + 生きてる、なぜ

  • 生きてる、なぜ は歌声リップ使って原曲を消した。
  • nerdtronicsのおそらく元ネタであるnerdtronicのパイオニア、Go Qualia氏の曲を使えたのは大きかった。

    dic.nicovideo.jp

ふた※のきも※は※んとの※みつ × de1irium + 大都会ベイベー

  • y0c1eは敬愛するアーティストの一人なので、de1iriumが流せて良かった。めちゃくちゃに良いローが出てた。
  • 大都会ベイベーはentropy:EQ+っていうトランジエントを帯域ごとに弄れるvstハイハットを消した。
ありがとうって言いたいな (Garage Edit)

  • 不覚にもムエタイさんの曲はどれもメロディが切なくて美しいと思う。原曲知ったときは全然違う曲で衝撃を受けた。
  • 小泉花陽→お米が好き→田園風景という発想で映像をつけた。

  • この後に流れるSFSRのリードはユーリ(少女週末旅行)の声で作ってるので、久保ユリカ繋ぎが発生している。
  • このMIXではdfさんによるGarage Editを使った。
夜更けの少女たち

  • 僕が一番影響を受けている音MAD作者である少々さんの動画。Windows効果音シリーズが一番有名だけど、今回採用した動画は放送終了時に流れる1kHzのサイン波が素材の音ゲーMAD。素材のチョイスがカッコ良すぎる。
  • もともと三拍子の動画なので引き延ばしたりチョップしたりして四拍子になじむようにしている。
Please Kill My Love + STAR FRUITS SURF RIDER GIRLS

  • 一番好きな音MADに自分が関わってきた中で一番好きな動画混ぜた。盛り上がって嬉しかった。
  • SFSRGはステムが残ってたので聴かせたい音だけ使った(ボーカル、ハモリ、リード)。さらにWavesのVitaminっていうソフト使って全体的にhigh midを盛った。
  • キルミーダンスがSFSRGの小窓にハマってて面白かった。ちなみに、SFSRGは関わった人全員の仕事が映るように編集しています。
Secret Dream

  • 最後の通用口を抜けて出ていくところをどうしても締めに使いたかった。
  • 前のセクションと比べて元の音圧が低めなのでマスターリミッターのin gainを3~4db上げてる。
  • 最後に出してる画像はセトリのWEBのスクショを使っている。

その他こぼれ話

  • Mixを作るにあたって竹塔さんのブロマガ(はてブロ)を大いに参考にした (https://taket-a.hateblo.jp/entry/ar1844240)。特にrekorbox djのプレミアム機能であるmp4のキー解析が実用的だった。またプレミアム機能には1か月のトライアル期間があり、これが締め切りに間に合わせる上で時間的にいいインセンティブになった。

動画

作るときに気を付けたこと

  • 複数の動画を重ねるときはシーンが変わるごとに細かく主従を切り替えるように意識した。例えば四畳半神話大系パートではカットごとに切り替えている。
  • 動画制作ではOpenCV AnimationというAviUtlのスクリプトを酷使した。特にエッジ抽出は何回も使っている。
  • VJとして箱で流れる以上、ディテールには凝りすぎないようにした。一方でフラッシュや暗転など輝度が切り替わるような編集を多用してアクセントになるようにした。

セトリの見せ方について

ちょっと凝った見せ方がしたくて専用のWEBを作った。Appleのフォントを使っているのでiPhoneとかで見るとマジできれいなはず。

リンクをJSONで管理できるようにしたので、今後DJしたときはここに載せていく所存。頑張るぞ。

p.s. 感想 / nerdtronics2に寄せて

色々と書いて気付いたがこのmixは本当に自分の好きなものだけで構成されている。今になって恥ずかしくなってきたけれど、こんな好き勝手やっているセットでちゃんと盛り上がっていたあの空間はやさしいせかいだと思った。

はじめにで「参加は迷わず決めた」と書いたが実は全然そんなことはない(あれは嘘だ)。というのも、自分の中で音MADに関するかなり複雑な気持ちがあるからだ。理由はいろいろあるけど、界隈が根本的に抱えているホモソーシャル性とか、まったくお金にならないくせに時間ばっかりかかるところとか、そもそも他人の作ったものを冒涜的に切り貼りして承認欲求を見たしている事実とか......(特定の誰かを断罪したいわけではない)。

その一方で、自分が音MADがマジでカッコよくて最高だと思っているのも事実である。音声/動画/テキスト/画像 インターネットにアップロードされたあらゆるメディアを横断的に巻き込んで、全く新しい文脈として提示する人々の姿勢に感嘆して、青春のある程度の時間を割いてこれに向き合ってきたのもまた事実である。

また、今僕が一番興味を持っている音楽に関しても、音MADが原体験にある。クラブ音楽を聴いたことなかった自分がそういう曲を聴くようになったのは確実に音ゲーMADの影響ではあるし、僕が今所属する大学の軽音サークルの門をたたいたのは、新歓でやってたSUNNY CAR WASHのキルミーに感動したからだったりする(ご存知R.M.さんのキルミーの原曲です)。

音MADは自分の音楽体験の原点にあるし、大切にしていきたいアイデンティではあるものの、僕がそれを作る人間であったこと、それを作る人々の輪の中にいたという事に関して、いまだに若干のうしろめたさを感じながら生きている。

ただ人付き合いを嫌って逃げ込んで見ていたパソコン画面上の、あの重なり合って見えなくなるたくさんのコメントが、ああやって実際に耳に聞こえる合唱になる瞬間というのは恥ずかしいとかそういうのを超えてマジで感動した。英語圏にはCringeとかBasedという言葉があるらしく(ニュアンスの解説はこのツイートとかみてほしい)、あの空間はまさしくCringeが反転して究極的にBasedな空間だったと思う。

他人と付き合うのが別に特段上手いわけでもなかった自分に、ある程度の居場所を与えてくれたのが僕にとってのニコニコ動画、特に音MAD界隈だったわけで、そこで得た友人たちやお世話になった人たちと夢のような楽しい時間を共有できたのは素晴らしいことだと思う。僕なりの界隈への恩返しができていたらとてもうれしい。

このような機会を与えてくれた運営の方々にはとても感謝しています。3があったらまた呼んでください。また演者として出れるかわかりませんが......。

春、まとめ

最近は気持ち的にも気候的にも「春やね~」と思う機会が多く、ふといつからいつまでが春なのか気になって調べてみたところ

冬と夏の間で、立春(2月4日ごろ)から立夏(5月6日ごろ)の前日までをさす。 天文学上は春分から夏至(げし)までが春で、気象学上は陽暦の3、4、5月が春である。 なお南半球では半年遅れで9、10、11月が春となる。 春を三つに分け初春、仲春、晩春を三春という。

春とは - コトバンク

もうちょいで春が終了することが判明した。

良い機会なので、この春に見たり読んだりしたものの感想をまとめる。

 

リスト

以下特に好きな作品をピックアップして書く。取り上げるやつ以外も好き。

2月分ピックアップ

dアニメ契約前だから全然アニメ見ていない。京都旅行行ったりスキー行ったり外にいることが多い月だった。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

youtu.be

今年初めて劇場で見た映画。タイミングも相まって心に残る映画になった。

まず、期待されていたカメオ出演が本当に行われたことに感動した。去年の夏あたりからちょこちょこスパイダーマン過去作を復習していたから、前のシリーズの悪役や主人公がちゃんと出てきたときは嬉しかった。完結することなく映画産業の亡霊のようになっていた過去シリーズのキャラ達が、最終的に一つになったストーリーラインの中でイキイキしていて素晴らしかった。

見た人には分かると思うけど、ラストで主人公は新たな人生を歩み出す。自分自身が高校卒業を控えているタイミングで見たので、人生の門出に立つ若者へのエールみたいなメッセージを割と素直に受け取ることができた。

他にも、旧作スパイダーマンでは「科学者や軍産複合体の社長=その時代のリーダーが悪役になる」みたいなケースが多かったのに対して、今作を含むMCUスパイダーマンは「フェイクニュース使いの悪役が偽動画をマスコミに渡して主人公が身バレ」「前のシリーズから復活した悪役=上の世代が残した責任を若者が後処理する」という感じで、悪役の立ち振る舞いが現実の問題意識を反映していて新しいと思った。

あとエンドロールの映像がかっこよくて劇場で声出した。

トップをねらえ!2

アマプラにガイナックス作品がいくつか来てたので続けて見た。特にトップをねらえ!シリーズは面白かった。

純粋な新しさでは無印が勝ってるけど、キャラデザと全体的な雰囲気は2の方が好みだった。ただ無印を見ておくと散りばめられたオマージュやラストの意味が分かるからオススメ。

3話の木星宇宙ステーションの回で泣いちゃったので、見たことある人は好きな回を教えて欲しい。

宇宙よりも遠い場所

ワクチン3回目で体が終わってる時に見た。マジで何もしたくなくてソファーに座ったまま、女子高校生がキラキラ輝く姿を見ていたら、熱による大量の発汗と大粒の涙で体重が3kgぐらい減った。11話見終わった段階で体温が平熱に戻っててびっくりした。ワクチンにはアニメが効きます。

内容に関して僕が何か言えるようなことはあまりないけど、細かなコミュニケーションの齟齬とか青春の不安感とかを描くのが本当にうまくて、ずっと画面に釘付けだった。

大切な人の残した足跡を追って、友に出会い、人生を見つける。普遍的でいい話だなーと思った。12話とは思えない密度なのでぜひ見て欲しい。おすすめ。

思い出のマーニー

定期的に来るジブリ見たい!の波に乗っかって見た。Discordで他人と通話しながら見たんだけど、途中からみんな感情に飲まれてしまいマイクミュートになってえんえん泣いてたのが面白かった。

天空の城ラピュタ風の谷のナウシカみたいな壮大さは無いけど、血縁という内的で個人的なものを追求していったら、その向こうで世界とつながっていた、みたいなのが良すぎる。

少女同士の関係性って閉鎖的で不健全になってしまうことがあるけど、マーニーでは二人の間ですれ違いが起きたり第三者の男キャラが話に絡んでくる事によって、愛情の輪っかが解けて他人を巻き込んでいくところが素晴らしかった。

枝葉の話をすると昔見たときはあまり好きじゃなかった信子(ぽっちゃりの委員長)が、とても人間のできた魅力的なキャラクターに感じられた。

塞ぎ込んでいた主人公の杏奈を夏祭りに連れ出して面倒見てくれる時点でまず偉い。その後「普通になりたい」と杏奈が書いた短冊を信子は覗き見しちゃって、杏奈に「太っちょ豚」と罵倒されるのに、信子はそれをすぐに受け流して「はい、これで終わりにしましょ!」って言う。13歳にしてこの心の広さ......。見習いたい。

世の中には自分で気付かないといけないことが多いと思った。

 

3月分ピックアップ

この月からdアニメストアと契約したので、元を取ってやるという気持ちで沢山アニメを見た。前々から見たかった多くの作品を見ることができた。

魔法少女まどかマギカ(TV版+新編劇場版)

walkingsushibox.hatenablog.com

↑TVアニメの感想はこれに書いた。よかった。

期待度が高かったから3月の後半に新編の劇場版も見たけども、あんまりピンとこなかった。

暁美ほむらが掲げる「知らない他人のために希望とか絶望みたいな抽象論を振りかざすより、もっと近くにいる私を愛して」というメッセージが、プロットが複雑すぎるあまり心に沁みてこなかった。みんながみんなルールを破り続けると、どこで驚いたらいいのか分からなくなる。法定速度は守ってほしい。

まちカドまぞく

初めて見たきららアニメ。超よかった。

主人公の吉田優子は先祖返り的な因果のせいである日唐突に闇の力に目覚め「シャドウミストレス優子」として覚醒する。一族の復興のために魔法少女を倒して闇の力を手に入れるという使命が科されるものの、彼女の経済状況や魔力のキャパシティーは先祖代々の呪いで極端に下方修正されている。なので彼女自身の人間的な魅力や人とのつながりが社会資本として残された唯一の強みである。一般的に魔族は悪役として物語に登場し、人間の欲望や弱みに付け込んでこの世に災厄をもたらす存在である。つまり彼女の人間としての優しさが魔族としての使命を邪魔していて、このジレンマが本当に良いと思った。

結局シャミ子はその人の良さから本来敵対するべきはずの魔法少女・千代田桃と友人関係になろうと画策するんだけど、その過程が本当に愛おしい。性別関係なく他人の心を推し量って関係を保つのって難しいし、それは魔族だろうと魔法少女だろうと同じことなんだろうなと思った。

あと、全てがおしゃれ!ロゴデザインとか台詞回しとかOPとか全部最高だった。七五調を意識したようなセリフが多くて、音MADが沢山作られるのも頷ける話。

4月から放送される二期に好きな声優さんが出演するらしいので期待感がすごい。伊藤彩沙?さて誰のことでしょう......。 

輪るピングドラム

2クール分あったけど、飽きずに見ることができた。

僕が去年から熱を上げているレヴュースタァライトがどういう系譜から出てきた作品なのか知りたい、という「お勉強」マインドで見始めたんだけど(スタァライトの古川監督はピングドラムの絵コンテで参加)、純粋にこの作品の強度が僕の履修意識を上回ってきて楽しい体験になった。今後も幾原邦彦監督のアニメは見ていくつもり。

話の根幹に「家族」というテーマが横たわっていて、そこから派生する愛や欲望の話がいろんな形で枝葉を伸ばしていて面白かった。演出や視覚的なメタファーの扱いが上手で、曲がりなりにも映像を作ったことがある人間として唸らされた。「愛」なんて手垢のついたテーマに思えるけど、プレゼンの方法が凝ってるといくらでも面白くなるんだなと感じたし、僕は伝え方を重視する鑑賞者なんだと気が付いた。

実際に日本で起きた大きな悲劇が作品の下敷きになっていて、その事件の余波というか、停滞した日本社会の精神性を節々から感じるんだけど、アニメという媒体を通すことである程度見やすくなっていたりする。フィクションには現実逃避的な側面もあるけど、何か大事なものを抽出して、美しいものとして見せるすごい力があると思った。

電脳コイル

小学生の時に見たはずだが内容は全部忘れていたので見直した。それなりに面白かった。

郵政局(解体されなかった郵政省が存在しているという設定)が電脳空間を含む通信事業を管理しているけど、郵政局のオートマトンは他の役所が管轄する公的なドメインにはアクセスできない。代わりに法務局のオートマトンは令状さえあれば私的なドメインでも入り込むことができるから厄介、みたいな細かい設定にニヤニヤさせられた。

最初は荒唐無稽に見えた子供たちの間の都市伝説が、電脳空間の成立にまつわる一つの悲劇に繋がっている、というプロットも純粋に子供心を揺さぶられるものだった(ワクワク/ガタガタ)。もし19話をリアルタイムで見ていたら軽くトラウマになっていた可能性がある。

また世界観だけではなく登場人物の造形も独特なアニメだった。そもそも焦点の当たっているキャラクターは全員小学生で、人間として不完全なところがあまりに多い。特に男子と女子の心の発達の性差が顕著で、自分がガキの頃に感じていた「女子って何考えてるかわからない」という畏怖とも恐怖ともとれる感覚を久しぶりに思い出した(今でもよく分からないですが)。男子が女子(おもに勇子)の都合のいいように使用されるような描写が多かった分、ここぞと言うときに男子キャラが甲斐性見せた時に「成長したな......」みたいな親心が出た。

響け!ユーフォニアム(1期&2期)

2期まで含めて一気見した。王道の名作。

主人公の黄前久美子の担当パートが「ユーフォニアム」であることにどんどん深い意味が与えられていくのがよかった。小学生の時に姉を真似して始めた吹奏楽で、たまたま余っていたパートのユーフォニアムに出会う。中学の部活動を不完全燃焼のまま終え、「新しいことを始めよう」と口では言いつつも、惰性で高校の吹奏楽部に入ってしまう。こんな感じで主人公は「楽器をやる理由」を曖昧にしたまま生きてきた。そこにきて「全国優勝」という大きな目標を顧問の滝先生から半ば押しつけられることで、主人公が(というか登場人物全員が)主体性を手に入れていく過程が、涙なしには見られなかった。

主人公のキャラ造形もよかった。趣向として僕は黄前さんのような(少し)性格の悪い人間が、頑張って集団に適合しようとしているのを見るのが好きだと思う。決して、性格悪い人間大好き!と言う露悪ではない。人間がネガティブな感情を抱いたり道徳的ではない考えを持つことは自然だ。たまにそういう部分が人当たりのいい人から垣間見えたりすると「この人生きてるな......」みたいな気分になる。普通にキモすぎかもしれないなこの文章。無視してください。

演出もキャラの実在性の向上に一役買っている。例えば部室を描いたカットで、中心にいる人間だけではなく視界の端にいるモブも描き込んであって、被写体の差別化はレンズブラー等の撮影効果で行われていたりする。だからアニメというより実写に近い情報量がある。とにかく製作陣の気合がすごいので見て欲しい。

リズと青い鳥

響け!ユーフォニアムのサイドストーリー。こっちもよかった。

このアニメ映画はユーフォと同じ北宇治高校吹奏楽部が舞台なんだけど(黄前さんももちろん出てくる)、ユーフォが広く部全体の出来事を活写していたのに対して、リズと青い鳥はもっと個人的な関係性に注目していた。

この映画に関しては僕の粗野な語彙で感想を書くと失われてしまうものが多すぎるので、ぜひとも皆さんの目で見てほしい。おすすめです。

追記: 牛尾憲輔の劇伴良すぎる。CD買いたい。

reminiscence*

reminiscence*

  • provided courtesy of iTunes

music.apple.com

STEINS;GATESTEINS;GATE 0

まーじで面白かった。最高。

全体的に「頭が良い」人間が書いたシナリオという感じがあった。人が喜ぶ所を分かっていると同時に、何を怖がるかも計算に入れていて、「やめてくれ~」と思っていることが起きたりする。大分システマチックに話が作られてるのに感情が追いついてきたすごかった。

一つ文句を言うなら、無印が凄すぎて続編と劇場版が期待以上のプロットの展開を見せてくれなかったところかも。ゼロ12話みたいにディティールで好きな部分はあるけど。

ラブライブ!(1期、2期、劇場版)

まあまあ面白かった。もっと昔に見ていたら、より純粋に好きになっていたと思う。

まず話数を重ねるごとにキャラがアイドルをやる理由に自覚的になっていくのが良かった。「廃校の危機を在校生がアイドル活動で救う」というツッコミ所満載のスタートから「次の世代のスクールアイドルのためのライブをする」に変わっていく過程で、マズローの欲求5段階のピラミッドを徐々に登っていく感じが良かった。

少し前にラブライブ!!シリーズの最新作であるスーパースターを見ていたので、いかにスーパースターが無印を踏襲しているか分かって面白かった。むしろ無印の時点で材料は全部出揃ってるのに、料理の方法を変えることで10年近くシリーズを存続させている角川の手腕に驚いた。凄すぎるコンテンツ。

平家物語

製作陣の名前見たときから期待してたけど傑作だった。

目新しかった点としてオチから逆算して物語に緊張感を作っているというのがある。日本人の一般常識として、平家が最後に滅亡することは誰でも知っている。いわば盛大にネタバレされている物語をどうやって面白くするかが問題になるのだけれど、そこに「琵琶」という未来を予知する能力を持つ主人公を置くことで、登場人物の将来を早々に明らかにしてしまう。それによって登場人物が過去や未来ではなく「今その瞬間を生きること」に大きな意味が生まれる。これがマジで心に響いた。

何回だって言うよ 世界は美しいよ
君がそれをあきらめないからだよ
最終回のストーリーは初めから決まっていたとしても
今だけはここにあるよ 君のまま光ってゆけよ

羊文学「光るとき」 (「平家物語」OP)

羊文学さんが僕の言いたいこと全部言ってくれた。大好きだ。

四畳半神話体系

大学生になる前に見れて本当によかった。この物語に一部分でも共感できるということが、自分が恵まれた時代の人間であることの証拠なのかなと思った。

いわゆるカタルシスって主人公のコンプレックスが何らかの成功体験で解消されたりすることで得られたりするけど、このアニメではコンプレックスを抑圧・否定して次に進むという選択をとった主人公が徹頭徹尾うまくいかず、最終的に完全な孤立状態に陥るという変わった展開を見せる。むしろ(ネタバレ?)あるがままを「受け入れる」ことによって、幸せを見つけ自分の恋心を成就させるというラストを迎える。ある意味甘やかしてくれるアニメだけれども、人生そんなもんじゃないかという気にさせてくれるのでかなり良かった。

たまこラブストーリー

すごすぎた。もう、泣きすぎて意味わからんかった。

たまこラブストーリー」は日常アニメである「たまこマーケット」の完結編として作られた映画だけど、日常アニメの続編としてはほぼ禁じ手に近いようなことをやってくる。下手なこと書くと初見時の面白みを損ねかねないので見てほしい。でもなるべく「たまこまーけっと」を見た後に見て!

4月分ピックアップ

学校が始まって忙しくなってしまいアニメが全然見れなかった。代わりに映画をよく見ていた。

mid90s

友達におすすめされてみた映画。良かった。

90年代が舞台のスケートボードに乗る少年の成長を描いた映画ということで、その文化の畑の人間にしか分からないカルチャー映画だと思っていたけど、案外共感できる部分が多くて安心した。

実際のプロスケーターが主人公の兄貴分的な役で出てくるので、素人の僕が見ていてもスケートボードのシーンはかっこいいと感じた。フィルムを使って撮影してるから画面の質感も雰囲気に一致していて良かった。

だけどもカッコいい映像の背景に、ちょっぴり切なさを抱えた映画だと感じた。モラトリアムを生きる若者が共通の趣味を持つ仲間と集まって時間を共にする。家族や学校の友達とも違う心からの連帯を手に入れる。使う言葉や聴く音楽を真似してみたりする。無理に意地を張って大怪我をする。だけども結局才能や出自の差でグループがまた離れてしまいそうになる。ぐさっときた。

映画としては連帯を確かめ合うようなラストに持っていってくれるんだけど、それはあくまで卒業アルバムや文化祭に近い刹那的な連帯で、その先にある友との離別のことを想像せざるを得なかった。この離別は別にネガティブな意味合いではなくて、成長の結果としての独立といった方が正確かも。

自分も中学生の時に僕の周りにもレイみたいな年齢差の頼れるメンターがいてくれたら良かったなと思う。ないものねだりかもね。

犬神家の一族

期待していた以上に面白かった。以下ネタバレあり。

まず大家族の相続を扱ったミステリーがウケたということに時代の違いを感じた。公開当時は劇中のような貴族的な世界観に生きる人間が現実にいたんだと思う。大規模なお家騒動を扱ったドラマって、最近は日本よりも韓流ドラマとかの方が多いんじゃないかと思う(適当)。

あと第二次世界大戦が話全体に暗い影を落としているのも見どころだと思う。犬神家の発展も戦争無くして有り得なかったし、メインのトリックも静馬に戦争で負った傷があったから成立したことである。また人殺しという行為が戦争によって相対化されているせいか、現代的なドラマで起きる殺人よりも軽く見ることができるのも新鮮?だった。今思うと怖いことだと思う。

最終的に純愛と親子愛が全てに勝ち、妾の家系である青沼の静馬は非業の死を遂げるわけで、良くも悪くも大衆映画だなと思った。

闇金ウシジマくん 1~final

面白かった。原作のエピソードを抜粋して作られた映画だったけど十分楽しめた。

前に「ナニワ金融道」っていうサラ金業界を舞台にした漫画を読んだことがあって、その頃に感じた人の温かみみたいなものが極限まで削ぎ落とされたような感覚があった。

ナニワの方は利息制限法が改正される前の昭和が舞台で、消費者金融が堂々とグレーな商売をやることができた時代の話だった。社会的に信用がない人間でも借金が気軽にできたし、運が良ければ底辺を脱出することもできたのかもしれない。実際そういった希望の見える?話も多かった。

対照的にウシジマくんはとことん悲惨な話が多くて気が滅入った(面白いんだけど)。2の冒頭で六角精児が演じるサラリーマンが言ってた通り規制強化によって銀行系列以外の消費者金融は商売を続けられなくなり、ウシジマみたいな闇金が跋扈するようになったという背景があるらしい。暴力団を規制法で身動き取れないようにしたせいで、取り締まりできない半グレが幅を利かせるようになってしまった、みたいな話に似ていると思った。

と言う感じで映画の内容以上に日本社会の全体のことについて考える機会になったのでとても社会的に意義のある映画だと思います。

 

以上です。取り上げてないやつで書きたいことが浮かんだら追記するかもしれない。

感傷マゾとかいうのをやめろ

※まとまりのないお気持ちです

最近見かける感傷マゾとか青春マゾみたいな言葉が嫌いである。特にコロナ禍以降、世代全員が青春を失った最近、見かけるようになった言葉である。
この文章の目的は感傷マゾの説明ではないので、わからない人は適当に検索して大まかな意味合いをつかんでほしい。

僕は、人生における失敗や不幸を咀嚼したり適度に忘却すること、前を向こうとする人間の心の働きは普遍的であり、局所的な世代や文化集団が、「感傷マゾ」みたいな語彙で自虐的にあげつらうのはあんまり意味がないように感じる。意味がないというか、誰も幸せにしない、と思っている。

そもそも「マゾヒズム」という言葉はあまりに露悪的で不正確だ。僕たちが不幸なことや失敗を受け入れた後に生まれるポジティブな感情は、苦痛や悲しみが倒錯して生まれた生理的な快感とは根本的に違う。原因と結果がこじれているからといって、その内側の論理を無視しないでほしい。

人間が人間でいられる一つの証明として、「失う」ことができるというのが最近の僕の考えだ。
失うということには二種類ある。被災によって家を失うといったように、もともと持っていたものを失う。あるいは進路の選択によって子供のころの夢をあきらめたといったような可能性の喪失。この二つである。
(特に後者の意味において)適度に失うことができる我々人間は、同じように適度に得ることができるのである。確率を信じ、常に分岐する選択の中にありえたかもしれない未来を想像する。過去にとらわれた後ろ向きの考えに見えるが、その思考はメタ認知の次元で前を向いている。

志望校合格、恋愛成就、ビジネスでの成功、抽選での当選等々、人生において一般的に「得る」ことができるものはたくさんある。しかし、僕たちはこれらを同時に「失う」可能性を持っている。そして僕は、失うことも得ることも、同じくらい尊いことだと思っている。

だから、失うことがいずれ得ることにつながるのは当然だ。だから、それをマゾヒスト的だと決めつけないでほしい。しょうもないラベリングや自虐をしないでほしい。

日報20220303

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ブログの更新が止まっているのは寂しいので、日記を書きたいと思う。

今日は珍しくいろんなことがあった。

①花柳香子の誕生日

お誕生日おめでとうございます!!!

と無邪気に書いて終わらせてもいいんだけれども、味気ないのでもうちょい書く。

花柳香子さんは僕の好きなアニメに出てくるキャラクターなんだけれども、劇中で2019年度に高校過程を終了したことになっている。そして僕自身もこの2021年度で高校を卒業する。2年のズレがあるとはいえ、スタァライトの劇場公開は2021なので、気持ちとしては同時期の高校卒業である。

果たして彼女のような架空のキャラクターが歳を取るのか取らないのかはわからないけれども、おそらくこの3月が女子高生である舞台少女たちと一緒に年を取ることができる最後の月であることは確かだ。高校生が終わるということは、徐々に作品内の彼女たちとは違う視座の中で時を過ごすということである。

思い返すとこうやって作中でのキャラクターの年齢を追い越すという体験もこの最後の進学を機に意識しなくなるのかもしれない。

寂しいけれども、高校生という立場では見えなかったものもたくさんあると思うので、老いることを肯定していきたい。

花柳香子さんも、花柳華仙として世界制覇目指してください。

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➁曲を出した

1月の頭からだらだらと作っていた曲がやっと完成して、SoundCloudにあげた。大好きなアニメの大好きな曲に大好きな音をたくさん乗せたオタクの自己満足みたいな音源になってしまったけれど、自分以外の人にもその情熱が伝わっていたらうれしい。

一緒に作ってくれたilさん、この場を借りて感謝します。

soundcloud.com

これだけ尺がある音源を仕上げたのが人生で初めてだったので、本当にいろいろな発見があった。すでに出来上がっている曲に何かを載せる作業って、ゼロから曲を作るぐらい考えなきゃいけないことが多いと思った。僕は前者しかやったことがないけど。

去年はずっと音MADを作っていたけど今年からはこういう違う形のクリエイティビティも模索していきたいな、とは思う。とはいえ2ndのリードは愛城華恋さんの声で作っているので、ほぼ音MADですね。

参考: 作るときに参考にしてた曲群

music.apple.com

③美術館に行った

都内の美術館でやっていた『奇想のモード 装うことへの狂気』という展示を見に行った。

www.teien-art-museum.ne.jp

普段の自分のアンテナに引っかからない展示だけど、妹がどうしても行きたいというのでついていくことにした。服飾に関する展示だったが、ファッションにあまり興味のない僕でも楽しめた。服飾以外にもアート運動の話とかが包括的にまとめられていたのが理由かもしれない。

あと天皇家がもともと所有していたという建物自体がとても素敵で、また足を運びたくなる体験になった。新館の横にあるカフェ、ケーキが本当においしいのでお勧めです。

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④dアニ加入&まどマギ見た

3月はアニメ過去作を見返すと前々から決めていたので、dアニメストアの契約をした(dアニがきゅうべえみたいな生物だったら、アニメオタクになることを強要してきそうで非常に嫌)。

今のところの心持としては無料期間で見れるだけ見て解約、だけれどもライフスタイルの一環になったら続けると思う。それを可能にするためにもバイトを探さなければいけない。

dアニ契約一発目に見たのは魔法少女まどかマギカ。結論から言うとめちゃ面白かった。公開から十年以上たってる作品だからいまさら何か言う感じでもないけれども、しきりにもてはやされる理由がよく分かった。

好きpoints

  • 1話辺りで主人公のお母さんが化粧をするシーンがあり、それが後々の魔法少女たちの変身バンクと近いものがあってよかった。

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  • 三樹さやかの人間臭さのあるシナリオも大好きです。本当は暗いところあるのに明るく振る舞ってるやつが一番かっこいい。

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  • 関連でいくつか記事を読んだ、最後の解決の独特の肩透かしを食らったような感じは大乗仏教の都合のよさに近いのかも、と思った(リンク先ネタバレあり)。

まどかマギカをネタに宗教論遊びでもしてみましょうか - 上座部も大乗も、キリスト教やイスラム教だってオッケーな話 - *魂の次元*

所詮大乗仏教である『まどマギ』でマミさんに自力救済ルートはない

 

おわり

STAR FRUITS SURF RIDER GIRLS: 編集後記

※この記事には少女終末旅行の若干のネタバレがいくつか含まれます。ご了承ください。

nicovideo.jp

始めに

この記事では僕と他数名で制作したStar Fruits Surf Rider Girlsについて色々書いていきたいと思います。色々書きすぎて合計一万字を超えてしまったので、興味があるところだけ読むことをおすすめします。

動画を見ていただいた方は気づいていると思いますが、この動画は「2つの独立した動画をそれぞれ投稿し、同時再生版を実写で撮影して投稿する」というアイディアにのっとって制作しました。原曲のポテンシャルに乗っかった動画ではありますが、それなりに独創的なことができたんじゃないかなという思い上がりの元、このような形で記事を書くことにしました。

(ただ単に今まで自分が関わった動画の中でも特に長い時間をかけたので、いろんな人にプロセスを知ってほしいというのが本音)

パート分け詳細

https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57199469/picture_pc_0f4f6d38fdd21de7ef4640e611e0e579.png

なななんと!僕含めて7人での制作になりました!プチ合作です!

正直制作当初はここまで多くの人が関わることになるとは思ってもいませんでした。一人でも欠けていたら完成しなかったと思うと、感謝してもしきれません。手伝っていただいた猛茸さん、オンモコスブさん、冬眠しますさん、ねこぱらさん、Lixyさん、尾木メモさん、ありがとうございました!

作ろうと思ったきっかけ

流行り関係なしに自分の好きな曲で作ってみたかったというのが正直な理由です。ただ共有垢という場所で出す以上、なにかしらすごいギミックを組み込んでみたかったので、こういった形の動画になりました。

open.spotify.com

 曲は今年の1月辺りに見つけていましたが、自分の技量不足で制作を諦めていました。

状況に変化があったのが2月です。いわゆる団体垢である「強烈誘拐」に招待され、動画制作に対してストイックな人たちとの交流が始まりました。運営鯖のメンツや雰囲気から、形にすることができるような気がしてきたので、曲とアイディアをメンバーに紹介。メンバーの一人である猛茸さんの得意素材である少女週末旅行が曲の雰囲気にかっちり合いそうだったので、スプレッドシートに企画をまとめて制作を開始しました。

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曲と作曲家に関して

蛇足かなと思いましたが書いた方がいいと思ったので書きます。
この曲は原曲の時点で2つで1つの曲というフォーマットが確立されていました。作曲者のCorneliusこと小山田圭吾は20年以上も前にこの曲を出しました。はっきり言いましょう、彼は音楽の天才です。何か月もの間この曲に向き合う中で、この曲そしてこの曲を生み出した作曲者への愛着のようなものが形成されていった気がします。

だからこそ、僕は彼が学生時代に行っていたという半ば拷問に近いいじめの話を、これ以上ない衝撃をもって受け止めました

実はこの動画が完成したのは、彼がオリンピックの開会式の曲の作曲家に任命された直後、彼の過去の蛮行がSNSを通じて拡散されていた時期の事でした。僕らも制作開始時こそ知らなかったものの、彼の過去については制作途中に知るに至り、制作/公開を取りやめようかと何度も悩みました。ただ結果から言えば、僕は動画を出してよかったと思っています

僕は作曲者と作品を切り離すことが可能だとは思ってもいませんし、作曲者のことを許そうと思ったこともありません。小山田圭吾は存命中の人間で、僕らもまた彼と同じ時代を生きる人間です。全部忘れろなんて無理な話でしょう。しかし、僕らはこの動画に込めた愛が、原曲の作者の過去の過ちで揺らいでしまうような弱いものではないと信じています。曲の持つポテンシャルを信じてこの動画を作っていた僕たちのことをどうか許してください。そして、原曲を使わないと決めた僕たちの決心を、楽曲を作曲者から開放するためのささやかな反抗だと受け取っていただければ幸いです

素材の把握と方向性の決定

スプシ

僕は立案時点で『少女終末旅行』を見てなかったので、急遽視聴することにしました。普通のアニメ鑑賞と違った点といえば、素材として使えそうな場面を逐一タイムスタンプと共に記録したことです。これによりアニメの構成や展開に対して深い理解が得られたと感じています。

また視聴していく過程でチトとユーリという二人のキャラクター性がStar Fruits GreenSurf Rider Blueという2つの曲の特性にマッチしているような気がしてきました。「慎重で思慮深く内省的なチト=優しいギターとハスキーなボーカルが魅力的なGreen感性を信じる勇敢な冒険家であるユーリ=激しく展開するリードシンセとブレイクビーツが特徴的なBlue」という二項対立が僕の頭の中で完成し、「それぞれの曲をそれぞれのキャラクターの音だけで作る」という方針が固まりました。

音声と同じように独立した動画を2つ作ることにしましたが、最終的にスマホ2台並べて同時再生したいなと思い、音MADでは珍しい縦画面にチャレンジすることになりました(ここら辺のアイディアはオンモコスブさんが出してくれました)。このあたりから2つの縦画面を横断的に活用する絵作りやスマホの外側も巻き込んだ映像づくりを妄想したりしていました。

浮かれる一同

音声制作(3月23日~4月4日)

構想の時点では映像の全体像は全く見えていなかったので、とっとと音声を仕上げて物事を前に進めようと決心します。企画段階で僕があらかた耳コピを終わらせていたことや、猛茸さんの素材への高い理解度が幸いし、制作は比較的スムーズに進行しました。とはいえ原曲不使用x2となると相当な音数になり、最終的なミックスでは合計100トラックを超えるのとてつもない音源になりました。

音声のパート分け

音声パート決め
(会話相手は猛茸さん)

パート分けは一人一曲を仕上げることにしたため、言い出しっぺの僕がGreenパートを取りました。というのも、Blueはパーカッション周りが複雑で、僕では技術的に手が届かない気がしたので猛茸さんに押し付けました。(信頼のなせる業であり、決して搾取ではない)。

Green(音声)について

使用ソフト・VSTなど

画像59

色々使ってますが有償プラグインはentoropyEQ+とBalancerぐらい(これらも無償配布で手に入れた)なので、僕の音声に関してはほぼノーコストでの制作です。

おすすめしたいのはSK10Sanford Bassあたりのベースアンプ/エンハンサー。音が太くなります。

使用した音

画像96

アニメ本編からまんべんなくサンプルしました。スイッチの切り替え音以外はチトから取ってます。

プロセス

・人力の素材はチトのキャラソンやOP/EDのソロパートから頑張って抜き出しました。足りないところはオンモコスブさんが持っていた、同声優であるごちうさのチノの音素で補いました。キャラが違うと少し声色もちがってしまうので、必要最低限に抑えています。

・切り貼りやピッチ変更は「なめうぇーぶ」(utauのようなピアノロール風のシーケンサーとwavから音素を切り出すモジュールが一体になったもの)を使用して行いました。少し癖のあるUIでしたが、切り貼り人力ボーカロイド制作に最適化されていてかなり便利でした。

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使ってみたい人はこの動画シリーズを見ると良いと思います。僕のこの記事を読んでください(ちゃっかり宣伝)。

note.com

ボーカル微調整

・なめうぇーぶの作業をwavにレンダリングしたのちにReaperでめんどくさい後処理を行いました。テイクごとにタイミング・eq・フェーダーをいじったりしました。違和感がある個所は音素ごと取り換えたりしました。

ギター

・音合わせ。シンセ、ギター、ストリングと構成はかなりシンプルである半面、雑に作ると誤魔化しが効かないため結構大変でした。レイヤリングを多用したり普段以上にEQを詰めました。ギターはシンセらしく加工したトラックとサンプルを直接並べたトラックをブレンドしてそれぞれの足りない音域を補完し合っています。

Blue(音声)について(feat. 猛茸)

Blueに関してはほぼ全面的に猛茸さんに作っていただきました。

制作過程を書きたかったんですが、猛茸さんが誤ってpfを削除してしまったため、制作過程は永遠に闇の中です(これもう世界遺産の消失だろ)。

画像98

音声まとめ + セリフ合わせについて(feat. 猛茸)

僕のパートをステムにして猛茸さんに送信し最終的なミックスダウンをやってもらいました。greenとblue合計で100トラック超えてるのに3日ぐらいで返ってきて驚愕した記憶があります。才能が怖い。

セリフ合わせも一番作品への理解度が高いであろう猛茸さんに作ってもらいました。二つの動画をまたぐ会話劇や、歌詞に呼応した合いの手など小ネタ満載のセリフ合わせになりました。最高です。彼の働きなくして後の映像の構成はあり得なかったので、本当に感謝&尊敬しています。

なんやかんやスムーズに完成した音声。この時点で暦の上ではまだ4月。ここから4ヶ月間もの間映像を作り続けることとなります。

映像制作(4~7月)

もともとはオンモコスブさんに全部作ってもらおうかと思っていましたが、負担からして現実的ではありませんでした。結果として動画の大部分を僕が作ることになりました。大変だったけどこの動画の制作が僕の中で大きな自信になったと思います。

ワークフロー

複雑な動画だけあってそれなりにめんどくさいことをしています。動画は主にAviutlで作り、Rootと2つのSceneを別個のmp4に出力し、それらを別々のデバイスに表示して撮影しました。最終的なエンコードと撮影は機器を持っていたオンモコスブさんにやってもらいました。(画像拡大推奨)

実写を取り入れたことで天然の色ずれやインターレース、露光調整が加わり、動画の雰囲気がグッとよくなった気がします。

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コンセプト・方向性

9:16の縦比率で2つの動画を作り、最後に実写で撮影するということが決まっていたため、小窓の中の映像はあまり情報量が多くなりすぎないように、切り貼りメインの構成にすることにしました。

いままであまり見てこなかった切り貼りMADやAMVを見て技法を学んだり、ニコニコに上がっているアニメMADを何度も見たりして参考にしました。

共作に当たって

作業量からして複数の人間で作ることは明確だったので、動画の統一感を出すためにPinterestの共有ボードを制作しました

画像9

また、違うソフトでも似たような質感を目指すために、ルミナンスキーやエッジ抽出といったキーとなるエフェクトを選定したり、図形を使いまわしたりました(いわゆるトンマナ?の統一というやつ)。

「SFSR」のアイデア 100 件【2021】 | デザイン, グラフィックデザイン, ポスターデザイン

使用ソフト

AviUtl
一部のシーンはオンモコスブさんがAfter Effectsで作ったものと僕のシーンをオーバーレイしたりしていますが、僕の担当に関していえばAfter Effectsは使用していません。切り貼りのしやすさやシーンを使った並行作業など、この動画の制作を通してAviUtlの強みを再発見できた気がします。またオンモコスブさんによる最終的なエンコードにもAviUtlを使っています。

Blender
今までの動画でもちょくちょく使っていましたが、今回は大々的に使用しました。写実的なスタイルではなくモノクロに様式化されたルックスだったので、初心者の僕でもある程度映えるものが作れました。

Gimp
Photoshopを持っていない僕が切り抜きで使用しました。

After Effects(尾木メモ氏、オンモコスブ氏、冬眠します氏)
僕はAdobeにまだ魂を売っていないので使っていませんが、冒頭のモーションや2番のサビはAdobeユーザーの方々に作ってもらいました。

Photoshop(尾木メモ氏、ねこぱら氏、オンモコスブ氏)
ねこぱらさんが手書きアニメーションを描くときやオンモコスブさんが漫画のマスクを切るのに使っていました。使用者らによると「Adobeの唯一褒められる発明」らしいです。

よく使ったスクリプト(AviUtl)

キャッシュ保存RM
キャッシュテキスト
Aod_test47
値で図形
opencvスクリプト(特にエッジ抽出)
aodaruma氏のスクリプト
さつき氏のスクリプト
ティム氏のスクリプト
rikky氏のスクリプト
93氏のスクリプト

シーン別解説(アホ分量注意)

ここから先は動画をセクションに分けて、使った技術や作るときに考えていたことをつらつらと書いていきます。

マジで興味ある人以外は適当に流しちゃって問題ないです。横で動画を見ながら読むとちょっとは分かり易いかもしれません(結構分量あります)。

・壁紙, 冒頭のモーション | 00:00~00:05 | 尾木メモ, あるくおすし

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投稿当日の夜になって尾木メモさんに急遽依頼し作っていただきました。遅い時間の無茶なお願いだったのに爆速で満点のものを出していただいて面くらいました。ここだけの話、輪の個数に隠されたメッセージがあるとかないとか?

あと最初に画面に映っている2つの画像は、僕がAviUtlで作ったものです。それぞれの動画のサムネを壁紙用のレイアウトに変えたものですね。デザインスタジオであるThe Designers Republic辺りの雰囲気を真似しました。結構気に入ってて自分のスマホの壁紙にしています。

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・イントロ① | 00:05~00:41 | あるくおすし

画像10

しっとりとはじまる動画を目指していたのでシンプルなつくりになっています。2人の旅行がテーマのアニメなので、足跡を音にハメたら面白いかもしれないという安直な発想で背景を作りました。細かいパーティクルにはRikkyさんの拡張パーティクル(R)を使用しています。

・イントロ➁ | 00:42~00:53 | あるくおすし

画像13

「音楽」や「リズム」を抽象的に表現したくて、それっぽい曲線を引きました。外部スクリプトは使っておらず、ライン(移動軌跡)という標準のカスタムオブジェクトを使っています。詳しくはこの記事を見てください。

seguimiii.com

・イントロ③ | 00:53~01:17 | あるくおすし

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結構気に入っている部分です。背景が不思議な動きをしていますが、キャッシュ保存RMという外部スクリプトの活用です。このスクリプト一時保存読み込みEXTというかつて存在したスクリプトのリメイクで、基本的な仕様は同じです。

これを使うと「1フレーム直前の描画結果をキャッシュに保存し、現在のフレームで呼び出してまたキャッシュに保存する」といった再帰的な画面作りが行えるようになります。文章ではいまいち伝わらないと思うので、93さんによるチュートリアルを見ることをお勧めします。

www.nicovideo.jp

後の局所的なモーションブラーや日周運動の軌跡のようなエフェクトもこれを使って作っています。

・1番① | 01:17~01:22 | あるくおすし

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歌詞に合うちょうど良いシーンが見つかってよかったです。
シーンに溶け込ませるような歌詞の表示はふぉーさんによるLQSERというMADを参考にしています。素晴らしい動画なのでぜひ見てみてください。

www.nicovideo.jp

背景の街並みはBlenderを使って作っています。平面にParticleを使って長方形のメッシュを配置し、Cell Fractureという標準アドオンを使って作った瓦礫を散らばせました。

画像16

全体にWiferrameモディファイアーをつけて白色のマテリアルを割り当てることで線描風の見た目を実現しています。

以下、参考にしたチュートリアル

www.youtube.com

www.youtube.com

・1番➁ | 01:22~01:29 | あるくおすし

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小窓の中の映像は引き続き切り貼りで作っています。疑似的なモーショントラッキングは、中間点をたくさん打つことで再現しました(要はごり押し)。

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背景の風車は本編11話の風車のシーンを参考にモデリングしました。

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自然物を使わずに自然を表現するのエモすぎる。

・1番③ | 01:29~01:36 | あるくおすし

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小窓で見上げる動作をしているので、背面では重力に引き込まれていくようなモーションを配置して動きにメリハリをつけました。つづく連星のような図形も含めて星というシンボルを強く意識しています。

・1番④ | 01:36~01:41 | あるくおすし

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きれいに整列している文字は、93さん作のTA-Align@Ta-Trackを使用して作っています。以下の記事が参考になります。

seguimiii.com

背景の徐々に収斂していくようなパーティクルは、拡張パーティクル(R)の出力オプションに、ePiさん作の汎用トラックバーを適用することで実現しています。

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拡張パーティクルの出力範囲はダイアログから設定するため、本来値を移動できません。しかし、ePiさんの汎用トラックバーを使うとダイアログの値でもトラックバーで制御できるようになるのです!

使い方に関してはスクリプトに同梱されている「使い方.txt」が一番よくわかるのでそっちを見てください(配布場所↓)

scrapbox.io

・1番サビ | 01:36~02:05 | あるくおすし

画像25
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音に合わせてかなりの速さでシーケンスを切り替えています。ここは3つあるサビの中でも一番最初に作ったので、ネタが豊富で比較的スムーズに作れました。

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技術的に解説することはあまりないんですが、1つ上げるとすればキャッシュ保存RMを使ったモーションブラーの描画です。後方に歪曲していく円には曲面変形を適用しており、このオブジェクトをキャッシュ保存RMで挟むことで残像が残るようにしました(1:47~1:48, 1:59~2:01 も同じ原理)。

・2番① | 02:06~02:28 | あるくおすし

サビで密度の高い動きをたくさん入れたので、ここではゆったりとした画面作りを目指しました。ちーちゃんの朗らかな現実主義者としての側面が伝わるようにモチーフを選んでいます。

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ここではアニメ本編・吹き出しのモーション・飛行機・CGの葉と全く異なるフッテージを組み合わせていますが、2値化とエッジ抽出を使って画面に統一感を持たせました。

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葉っぱのCGにはpattern ditherというスクリプトを掛けています。どこかのDiscordの鯖で公開されていたものなので、今は手に入れられないかもしれません......すみません。

参考にしたチュートリアル

www.youtube.com

・2番➁ | 02:29~02:35 | あるくおすし

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1番①で使用したビルのモデルをそのまま流用し、別のカメラの視点でレンダリングしています。歌詞のなじませ方も1番からあまり変わっていません。ユーリの頭の上にある文字はTA-Align to Bezier@TA-Trackを使用して並べています。トラッキングは相変わらずごり押しです。

・2番③ | 02:35~02:40 | あるくおすし

この動画の微ネタバレ要素であるヌコに言及するシーンです。
これは劇中で明らかになる設定なんですが、ヌコは火薬やガソリンといった反応性が高い物質を好んで摂取します。そのような設定を反映し、ヌコに関係する物体として給油缶を選んで背景に配置しました。

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給油缶がそのすぐ後に登場する「火」のシーンとつながっていて、個人的に気に入っています。

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この給油缶はチュートリアルを見ずに自力でモデリングしました。慣れない作業でしたが満足いく結果になったと思います。

また、給油缶の浮遊はフォースフィールドを使って作っています。

・2番④ | 02:41~02:53 | あるくおすし

個人的にモーションが一番うまくいったと思う箇所です。歌詞に登場する3つのオブジェクトをシームレスにつなげることができた気がします。

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使用したスクリプトはティムさん作のスプリットと集中線T、そしてrikkyさん作のディザリンググラデーションです。

・2番サビ | 02:53~03:17 | 冬眠します(背景), あるくおすし(小窓)

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背景を冬眠しますさんに担当していただいたパートです!!!!
最終的なエンコードはオンモコスブさんにやってもらうことになっていたので、僕は公開まで一度も目を通していませんでした。なので投稿後に初めて目にしたときは、度肝を抜かれて言葉を失ってしまいました。

どのシーンも静止画としての完成度が非常に高い上に、モーションがしっかり練られていて、何回も見てしまいます。個人的にはカメラのモチーフのはめ込み方が好きです。

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フィルムリール?らしきものがちゃっかり入っている。

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ちゃんと前景のモチーフを拾っている。神。

冬眠しますさんからの所感もいただきました。

"星や天体のイメージと、流線や水のイメージと、メインで流れている映像を大切にしました。"

— 冬眠します

とのことです。

一般的にマンネリに陥りがちな2番のサビにもかかわらず、斬新な映像のおかげで飽きない動画になったと思います。冬眠しますさん、素晴らしい背景動画を作っていただきありがとうございました。

・間奏① | 03:17~03:41 | あるくおすし

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小窓の中と背景の両方を僕が担当しました。間奏のメインで使われているストリングスは6話のEDをサンプルして作っているので、6話のCパートをメインにシーケンスを組みました。

この回の空気感が伝わるように、波紋を広げたりオレンジ色のライトリークを比較(明)で合成したりして浮遊感を出しています。

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顔を隠す線はGimpのブラシを変えてワシワシしたものを使っています。ボカロのPVとかでよく見るアレです、アレ。

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輪郭のあやふやな背景は、おなじみのキャッシュ保存RMを使ったモーションブラーを使っています。みんなもキャッシュ保存RM使おう。

尾を引くような円は流れ星をイメージしたつもりです。

・間奏➁ | 03:41~04:05 | オンモコスブ(小窓/背景), あるくおすし(背景)

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小窓はオンモコスブさんに担当してもらいました。背景は間奏①をループした上にオンモコスブさんが作った映像をオーバーレイし、さらにいくつか要素を加えたものになっています。

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背景の左右に登場する長方形はリードシンセの音程に同期しています。水音に対応して短くなる線は値で図形で作った線に円形配置(アニメ-ション効果)をかけて作りました。

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非常にトリッピーなこのフッテージはオンモコスブさんがBlenderを使って作ったものです。

・3番① | 04:05~04:11 | オンモコスブ(小窓), あるくおすし(背景)

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ここからアウトロまでは、オンモコスブさんが小窓をつくり僕が背景を作るというパート振りが続きます。なのでここでは背景を作るときに使った技術や作業工程について話したいと思います。

1~2番までの抽象的な絵作りとは違い、3番からはアニメ本編や自前の実写を使った、より具象的な画面構成を意識しました。例えばこのパートで映っているテトラポッドは、僕が海に行ったときに撮影したものになります。

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iPhoneでも十分きれい

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水滴のようなオブジェクトはチュートリアルを見て作ったアニメーションに適当なHDRIを適用して作っています。Molten Chromeっぽくなっちゃったので2値化をかけて馴染ませています。

・3番➁ | 04:11~04:16 | オンモコスブ(小窓), あるくおすし(背景)

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真ん中の模様は心電図をイメージしていて、別のシーンで作ったモーションをRootで呼び出してループさせました。また、このシーンの背後にある水の紋様は、僕の父親が海で撮影した動画にopencvスクリプトのエッジ抽出をかけたものになります。

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天然の色収差がとてもきれいですね。

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ここの文字の演出僕も好きです(背景は4話14:45~あたりを使用)

・3番③ | 04:16~04:23 | オンモコスブ(小窓), あるくおすし(背景)

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ここのシーンの背景にも実写映像を使いました。

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パソコンの画面に写した星空をスマホで撮影したフッテージです。編集による付加では得られない自然な手ぶれが入っていて良いと思いました。

・3番④ | 04:23~04:28 | オンモコスブ(小窓), あるくおすし(背景)

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背景には本編4話の11:41~を使用

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文字のモーションはphritzさんの動画を参考にしました。

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↓ルミナンスキーやエッジ抽出を多用していてとてもスタイリッシュです

www.youtube.com

・3番サビ① | 04:29~04:34 | オンモコスブ(小窓), あるくおすし(背景)

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ラスサビにふさわしいように物量で攻めています。自分が持てる限りのアイディアを全部ぶつけました。

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大量に降ってくる[Fruits]のモーションは
①画像化したテキストをイージング11番で下に移動させる。➁①を複製していい感じに散らばせる。③グループ制御下に置いてパララックス視差効果をかけ、Z軸で移動。
という感じで作っています

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果実=リンゴ=知識=本
Workbenchで書き出して pattern dither を掛けています。

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きれいな水滴は第1話07:12~を使用しています。これじつはユーリの涎なんですよね。

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この謎めいた水滴は3番①で使ったウィグルアニメーションのパラメータを少し変えたものです。

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放射状・同心円状の構図を意識してつないでいます。(5話14:41~)

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ここのユーリ、Supercarのaのジャケットみたいで好き

open.spotify.com

・3番サビ➁ | 04:34~04:40 | オンモコスブ(小窓), あるくおすし(背景)

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第2話の15:12~と第11話の00:01~を使用。
デザインにBrutalismっぽさを取り込みたかった。

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第2話19:46~を使用

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英字新聞のテクスチャはDevianartで見つけました。

https://www.deviantart.com/serendipify/art/NEWSPAPER-TEXTURE-PACK-1-505315382

・3番サビ③ | 04:40~04:47 | オンモコスブ(小窓), あるくおすし(背景), ねこぱら(アニメーション)

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前景の涙、雨、記憶などのつながりがきれいですね。

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第1話11:48~, 第3話12:42~, 第2話17:22~を加工して組み合わせています。
文字のモーションは使いまわし。

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歌詞に合わせて乗り物を出している(厳密にいえばRider≠乗り物)。

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ねこぱらさんによる手書きアニメーションを使っています(ねこぱらって誰?)。

・3番サビ③ | 04:47~04:53 | オンモコスブ(小窓), あるくおすし(背景), ねこぱら(アニメーション)

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今までずっと背景にあった文字のモーションが小窓に絡む演出が結構気にっているシーンです。

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「螺旋」を映像に取り込みたかったので、ねこぱらさんが描いた螺旋階段のアニメーションを左右に配置しています(ねこぱらってマジで誰?)。

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Blenderで作った惑星的な何かに第1話9:11~あたりのフレアを合成しています。パスに追従するタイプのカメラワークをここで初めてやりました。

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このシーンもねこぱらさんのアニメーションを使っています

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Aodarumaさん作のRepeaterと標準の図形で作った波模様です

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僕たちは所詮遺伝子の乗り物.…..。
やけにディティールの細かいDNAはオンモコスブさんに作ってもらいました。下のチュートリアルをやればできるらしい。

 

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円形配置の個数を1つにしたものを円(図形)に適用し、半径を同じにして回転したものを120°ずつずらして三角形の頂点を作りました。辺を構成する三角形にはクリッピングをかけています。

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アウトロ① | 04:53~05:19 | オンモコスブ(小窓), あるくおすし(小窓/背景), Lixy(詩)

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このパートは僕も小窓の制作にかかわっています。
小窓のなかで1番と2番のサビと間奏の振り返りをやっています。ルミナンスキーや合成モードを細かく変えて合わせています。

背景にはLixyさんに書いてもらった詩を使っています。これらの詩は、アニメのサブタイトルを使って作られています。

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素晴らしい仕事をしてくれたと思います。
フォントはフォントワークスが無償で配布している筑紫Bオールド明朝Bを使用しています。

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テキストが複数個あると処理が重くなってしまうため、キャッシュテキストを使って負荷を軽減しています。

seguimiii.com

それに平仮名小さTA-Easingの入/退場順を2番に設定したものをかけています。

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この奇妙な画像はアニメのシーンを切り抜いてAod_test47というスクリプトをかけて作っています(ルミナンスキーの閾値を変化させながらZ軸方向に画像をループさせるスクリプト)。

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素材はサムネにも使った画像です。髪の毛の切り抜きが結構大変だった。

アウトロ | 04:53~05:19 | オンモコスブ, あるくおすし, 尾木メモ(切り抜き)

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背景・小窓共にオンモコスブさんに作っていただきました。水滴の使い方が素晴らしすぎる。

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このシーンの小窓は尾木メモさんが切り抜いた漫画のコマをオンモコスブさんがコンポジットしたものになっています。お二方とも仕事が丁寧です...。

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最後のシーンは僕の担当です。アニメの複数のシーンを重ねて静止画MAD風にコンポジットしました。色調補正は簡易トーンカーブと色ずれを使っています。

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切り抜きが大変だった

その他リファレンスなど

制作期間中に繰り返し見ていた映像やほぼパクってる映像まで雑多に集めました。

PORTER ROBINSON NURTURE LIVE @ SECRET SKY 2021

www.youtube.com

↑いろんな意味でめちゃ影響受けてます

もうじき神無月だ(音MAD)

www.nicovideo.jp

↑支配的なオブジェクトと2画面構成

Diki Diki Ding Ding(AMV

www.nicovideo.jp

少女終末旅行AMVは結構見ました。これがダントツで好きです。

Francisco Quiles - Walls

vimeo.com

↑点滅の多用や動きのつなげ方は全編通して影響を受けています。

Kabanagu - 泳ぐ真似 (Album Trailer)

www.youtube.com

↑phritzさんの映像はもう僕の中での2021の形を完全に決定づけてしまった。

Olga Bell - ATA

www.youtube.com

↑間奏のトリッピーなフッテージはこれの影響。

Cornelius - "Star Fruits Surf Rider"

www.youtube.com

↑本家のライブ映像です。古臭くていい。

Max Cooper - Resynthesis (official video by Kevin McGloughlin)

www.youtube.com

↑冒頭のフィードバックを使った構成はこれの影響。

rei harakami - joy

vimeo.com

↑繰り返しが気持ちい。めっちゃかっこいい。

Tohji, Loota & Brodinski - Naked [//Visualiza]

www.youtube.com

↑レンズの歪みとか意図的に入れるのかっこいいですよね。

Porter Robinson & Totally Enormous Extinct Dinosaurs - Unfold (Official Lyric Video)

www.youtube.com

↑異なる種類のフッテージがとてもうまく混じっている。

Angel Beats! 予告集

www.youtube.com

↑アウトロの文字はこれをパクっています。 

www.awwwards.com

↑かっこいいので良く眺めてました。

最後に

いや~~~~~~~~~(クソデカため息)

匿名性由来の変なプレッシャーをず~~っと感じていたので、素性を明かす日を待ち望んでいました……。「とんでもない奴が一人で作っている」みたいな雰囲気になっていましたが、内実は割と泥臭い共同作業の結晶だったりします。

10選で個人作枠として投票していただいた方には申し訳ない気持ちです……。欺くような真似をしてごめんなさい。もう少し早めに正体を明らかにしたかったんですが、匿名でやる楽しさにかまけて途中から後に引けなくなっていました。来年はもっと精神衛生上いい創作がやりたい。

最後に私事というか僕のこの動画に対するお気持ちなんですけど、この動画が現時点での僕の最高傑作だと思っています。無論一人で作った作品ではないにしろ、発案と呼びかけから始まり、製作の中でイニシアチブをとれたことは自分の中で大きな自信になりました。

もともと海遊びや星空を見ることが大好きな人間なので、自分の精神を形作るものを何らかの形で映像にできたのは本当にうれしかったです。3番の背景とかやってよかったな~って今でも思う。

あのアカウントの作品は、いろんな人がいろんな思いを込めて作っているので一つ一つ丁寧に見ていただけると嬉しいです(↓マイリス)。

www.nicovideo.jp

あと、高音質の音源をBandcampで配布してるので、欲しい人は落としていってくださいね。

 

kyoretsuyukai.bandcamp.com