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春、まとめ

最近は気持ち的にも気候的にも「春やね~」と思う機会が多く、ふといつからいつまでが春なのか気になって調べてみたところ

冬と夏の間で、立春(2月4日ごろ)から立夏(5月6日ごろ)の前日までをさす。 天文学上は春分から夏至(げし)までが春で、気象学上は陽暦の3、4、5月が春である。 なお南半球では半年遅れで9、10、11月が春となる。 春を三つに分け初春、仲春、晩春を三春という。

春とは - コトバンク

もうちょいで春が終了することが判明した。

良い機会なので、この春に見たり読んだりしたものの感想をまとめる。

 

リスト

以下特に好きな作品をピックアップして書く。取り上げるやつ以外も好き。

2月分ピックアップ

dアニメ契約前だから全然アニメ見ていない。京都旅行行ったりスキー行ったり外にいることが多い月だった。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

youtu.be

今年初めて劇場で見た映画。タイミングも相まって心に残る映画になった。

まず、期待されていたカメオ出演が本当に行われたことに感動した。去年の夏あたりからちょこちょこスパイダーマン過去作を復習していたから、前のシリーズの悪役や主人公がちゃんと出てきたときは嬉しかった。完結することなく映画産業の亡霊のようになっていた過去シリーズのキャラ達が、最終的に一つになったストーリーラインの中でイキイキしていて素晴らしかった。

見た人には分かると思うけど、ラストで主人公は新たな人生を歩み出す。自分自身が高校卒業を控えているタイミングで見たので、人生の門出に立つ若者へのエールみたいなメッセージを割と素直に受け取ることができた。

他にも、旧作スパイダーマンでは「科学者や軍産複合体の社長=その時代のリーダーが悪役になる」みたいなケースが多かったのに対して、今作を含むMCUスパイダーマンは「フェイクニュース使いの悪役が偽動画をマスコミに渡して主人公が身バレ」「前のシリーズから復活した悪役=上の世代が残した責任を若者が後処理する」という感じで、悪役の立ち振る舞いが現実の問題意識を反映していて新しいと思った。

あとエンドロールの映像がかっこよくて劇場で声出した。

トップをねらえ!2

アマプラにガイナックス作品がいくつか来てたので続けて見た。特にトップをねらえ!シリーズは面白かった。

純粋な新しさでは無印が勝ってるけど、キャラデザと全体的な雰囲気は2の方が好みだった。ただ無印を見ておくと散りばめられたオマージュやラストの意味が分かるからオススメ。

3話の木星宇宙ステーションの回で泣いちゃったので、見たことある人は好きな回を教えて欲しい。

宇宙よりも遠い場所

ワクチン3回目で体が終わってる時に見た。マジで何もしたくなくてソファーに座ったまま、女子高校生がキラキラ輝く姿を見ていたら、熱による大量の発汗と大粒の涙で体重が3kgぐらい減った。11話見終わった段階で体温が平熱に戻っててびっくりした。ワクチンにはアニメが効きます。

内容に関して僕が何か言えるようなことはあまりないけど、細かなコミュニケーションの齟齬とか青春の不安感とかを描くのが本当にうまくて、ずっと画面に釘付けだった。

大切な人の残した足跡を追って、友に出会い、人生を見つける。普遍的でいい話だなーと思った。12話とは思えない密度なのでぜひ見て欲しい。おすすめ。

思い出のマーニー

定期的に来るジブリ見たい!の波に乗っかって見た。Discordで他人と通話しながら見たんだけど、途中からみんな感情に飲まれてしまいマイクミュートになってえんえん泣いてたのが面白かった。

天空の城ラピュタ風の谷のナウシカみたいな壮大さは無いけど、血縁という内的で個人的なものを追求していったら、その向こうで世界とつながっていた、みたいなのが良すぎる。

少女同士の関係性って閉鎖的で不健全になってしまうことがあるけど、マーニーでは二人の間ですれ違いが起きたり第三者の男キャラが話に絡んでくる事によって、愛情の輪っかが解けて他人を巻き込んでいくところが素晴らしかった。

枝葉の話をすると昔見たときはあまり好きじゃなかった信子(ぽっちゃりの委員長)が、とても人間のできた魅力的なキャラクターに感じられた。

塞ぎ込んでいた主人公の杏奈を夏祭りに連れ出して面倒見てくれる時点でまず偉い。その後「普通になりたい」と杏奈が書いた短冊を信子は覗き見しちゃって、杏奈に「太っちょ豚」と罵倒されるのに、信子はそれをすぐに受け流して「はい、これで終わりにしましょ!」って言う。13歳にしてこの心の広さ......。見習いたい。

世の中には自分で気付かないといけないことが多いと思った。

 

3月分ピックアップ

この月からdアニメストアと契約したので、元を取ってやるという気持ちで沢山アニメを見た。前々から見たかった多くの作品を見ることができた。

魔法少女まどかマギカ(TV版+新編劇場版)

walkingsushibox.hatenablog.com

↑TVアニメの感想はこれに書いた。よかった。

期待度が高かったから3月の後半に新編の劇場版も見たけども、あんまりピンとこなかった。

暁美ほむらが掲げる「知らない他人のために希望とか絶望みたいな抽象論を振りかざすより、もっと近くにいる私を愛して」というメッセージが、プロットが複雑すぎるあまり心に沁みてこなかった。みんながみんなルールを破り続けると、どこで驚いたらいいのか分からなくなる。法定速度は守ってほしい。

まちカドまぞく

初めて見たきららアニメ。超よかった。

主人公の吉田優子は先祖返り的な因果のせいである日唐突に闇の力に目覚め「シャドウミストレス優子」として覚醒する。一族の復興のために魔法少女を倒して闇の力を手に入れるという使命が科されるものの、彼女の経済状況や魔力のキャパシティーは先祖代々の呪いで極端に下方修正されている。なので彼女自身の人間的な魅力や人とのつながりが社会資本として残された唯一の強みである。一般的に魔族は悪役として物語に登場し、人間の欲望や弱みに付け込んでこの世に災厄をもたらす存在である。つまり彼女の人間としての優しさが魔族としての使命を邪魔していて、このジレンマが本当に良いと思った。

結局シャミ子はその人の良さから本来敵対するべきはずの魔法少女・千代田桃と友人関係になろうと画策するんだけど、その過程が本当に愛おしい。性別関係なく他人の心を推し量って関係を保つのって難しいし、それは魔族だろうと魔法少女だろうと同じことなんだろうなと思った。

あと、全てがおしゃれ!ロゴデザインとか台詞回しとかOPとか全部最高だった。七五調を意識したようなセリフが多くて、音MADが沢山作られるのも頷ける話。

4月から放送される二期に好きな声優さんが出演するらしいので期待感がすごい。伊藤彩沙?さて誰のことでしょう......。 

輪るピングドラム

2クール分あったけど、飽きずに見ることができた。

僕が去年から熱を上げているレヴュースタァライトがどういう系譜から出てきた作品なのか知りたい、という「お勉強」マインドで見始めたんだけど(スタァライトの古川監督はピングドラムの絵コンテで参加)、純粋にこの作品の強度が僕の履修意識を上回ってきて楽しい体験になった。今後も幾原邦彦監督のアニメは見ていくつもり。

話の根幹に「家族」というテーマが横たわっていて、そこから派生する愛や欲望の話がいろんな形で枝葉を伸ばしていて面白かった。演出や視覚的なメタファーの扱いが上手で、曲がりなりにも映像を作ったことがある人間として唸らされた。「愛」なんて手垢のついたテーマに思えるけど、プレゼンの方法が凝ってるといくらでも面白くなるんだなと感じたし、僕は伝え方を重視する鑑賞者なんだと気が付いた。

実際に日本で起きた大きな悲劇が作品の下敷きになっていて、その事件の余波というか、停滞した日本社会の精神性を節々から感じるんだけど、アニメという媒体を通すことである程度見やすくなっていたりする。フィクションには現実逃避的な側面もあるけど、何か大事なものを抽出して、美しいものとして見せるすごい力があると思った。

電脳コイル

小学生の時に見たはずだが内容は全部忘れていたので見直した。それなりに面白かった。

郵政局(解体されなかった郵政省が存在しているという設定)が電脳空間を含む通信事業を管理しているけど、郵政局のオートマトンは他の役所が管轄する公的なドメインにはアクセスできない。代わりに法務局のオートマトンは令状さえあれば私的なドメインでも入り込むことができるから厄介、みたいな細かい設定にニヤニヤさせられた。

最初は荒唐無稽に見えた子供たちの間の都市伝説が、電脳空間の成立にまつわる一つの悲劇に繋がっている、というプロットも純粋に子供心を揺さぶられるものだった(ワクワク/ガタガタ)。もし19話をリアルタイムで見ていたら軽くトラウマになっていた可能性がある。

また世界観だけではなく登場人物の造形も独特なアニメだった。そもそも焦点の当たっているキャラクターは全員小学生で、人間として不完全なところがあまりに多い。特に男子と女子の心の発達の性差が顕著で、自分がガキの頃に感じていた「女子って何考えてるかわからない」という畏怖とも恐怖ともとれる感覚を久しぶりに思い出した(今でもよく分からないですが)。男子が女子(おもに勇子)の都合のいいように使用されるような描写が多かった分、ここぞと言うときに男子キャラが甲斐性見せた時に「成長したな......」みたいな親心が出た。

響け!ユーフォニアム(1期&2期)

2期まで含めて一気見した。王道の名作。

主人公の黄前久美子の担当パートが「ユーフォニアム」であることにどんどん深い意味が与えられていくのがよかった。小学生の時に姉を真似して始めた吹奏楽で、たまたま余っていたパートのユーフォニアムに出会う。中学の部活動を不完全燃焼のまま終え、「新しいことを始めよう」と口では言いつつも、惰性で高校の吹奏楽部に入ってしまう。こんな感じで主人公は「楽器をやる理由」を曖昧にしたまま生きてきた。そこにきて「全国優勝」という大きな目標を顧問の滝先生から半ば押しつけられることで、主人公が(というか登場人物全員が)主体性を手に入れていく過程が、涙なしには見られなかった。

主人公のキャラ造形もよかった。趣向として僕は黄前さんのような(少し)性格の悪い人間が、頑張って集団に適合しようとしているのを見るのが好きだと思う。決して、性格悪い人間大好き!と言う露悪ではない。人間がネガティブな感情を抱いたり道徳的ではない考えを持つことは自然だ。たまにそういう部分が人当たりのいい人から垣間見えたりすると「この人生きてるな......」みたいな気分になる。普通にキモすぎかもしれないなこの文章。無視してください。

演出もキャラの実在性の向上に一役買っている。例えば部室を描いたカットで、中心にいる人間だけではなく視界の端にいるモブも描き込んであって、被写体の差別化はレンズブラー等の撮影効果で行われていたりする。だからアニメというより実写に近い情報量がある。とにかく製作陣の気合がすごいので見て欲しい。

リズと青い鳥

響け!ユーフォニアムのサイドストーリー。こっちもよかった。

このアニメ映画はユーフォと同じ北宇治高校吹奏楽部が舞台なんだけど(黄前さんももちろん出てくる)、ユーフォが広く部全体の出来事を活写していたのに対して、リズと青い鳥はもっと個人的な関係性に注目していた。

この映画に関しては僕の粗野な語彙で感想を書くと失われてしまうものが多すぎるので、ぜひとも皆さんの目で見てほしい。おすすめです。

追記: 牛尾憲輔の劇伴良すぎる。CD買いたい。

reminiscence*

reminiscence*

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STEINS;GATESTEINS;GATE 0

まーじで面白かった。最高。

全体的に「頭が良い」人間が書いたシナリオという感じがあった。人が喜ぶ所を分かっていると同時に、何を怖がるかも計算に入れていて、「やめてくれ~」と思っていることが起きたりする。大分システマチックに話が作られてるのに感情が追いついてきたすごかった。

一つ文句を言うなら、無印が凄すぎて続編と劇場版が期待以上のプロットの展開を見せてくれなかったところかも。ゼロ12話みたいにディティールで好きな部分はあるけど。

ラブライブ!(1期、2期、劇場版)

まあまあ面白かった。もっと昔に見ていたら、より純粋に好きになっていたと思う。

まず話数を重ねるごとにキャラがアイドルをやる理由に自覚的になっていくのが良かった。「廃校の危機を在校生がアイドル活動で救う」というツッコミ所満載のスタートから「次の世代のスクールアイドルのためのライブをする」に変わっていく過程で、マズローの欲求5段階のピラミッドを徐々に登っていく感じが良かった。

少し前にラブライブ!!シリーズの最新作であるスーパースターを見ていたので、いかにスーパースターが無印を踏襲しているか分かって面白かった。むしろ無印の時点で材料は全部出揃ってるのに、料理の方法を変えることで10年近くシリーズを存続させている角川の手腕に驚いた。凄すぎるコンテンツ。

平家物語

製作陣の名前見たときから期待してたけど傑作だった。

目新しかった点としてオチから逆算して物語に緊張感を作っているというのがある。日本人の一般常識として、平家が最後に滅亡することは誰でも知っている。いわば盛大にネタバレされている物語をどうやって面白くするかが問題になるのだけれど、そこに「琵琶」という未来を予知する能力を持つ主人公を置くことで、登場人物の将来を早々に明らかにしてしまう。それによって登場人物が過去や未来ではなく「今その瞬間を生きること」に大きな意味が生まれる。これがマジで心に響いた。

何回だって言うよ 世界は美しいよ
君がそれをあきらめないからだよ
最終回のストーリーは初めから決まっていたとしても
今だけはここにあるよ 君のまま光ってゆけよ

羊文学「光るとき」 (「平家物語」OP)

羊文学さんが僕の言いたいこと全部言ってくれた。大好きだ。

四畳半神話体系

大学生になる前に見れて本当によかった。この物語に一部分でも共感できるということが、自分が恵まれた時代の人間であることの証拠なのかなと思った。

いわゆるカタルシスって主人公のコンプレックスが何らかの成功体験で解消されたりすることで得られたりするけど、このアニメではコンプレックスを抑圧・否定して次に進むという選択をとった主人公が徹頭徹尾うまくいかず、最終的に完全な孤立状態に陥るという変わった展開を見せる。むしろ(ネタバレ?)あるがままを「受け入れる」ことによって、幸せを見つけ自分の恋心を成就させるというラストを迎える。ある意味甘やかしてくれるアニメだけれども、人生そんなもんじゃないかという気にさせてくれるのでかなり良かった。

たまこラブストーリー

すごすぎた。もう、泣きすぎて意味わからんかった。

たまこラブストーリー」は日常アニメである「たまこマーケット」の完結編として作られた映画だけど、日常アニメの続編としてはほぼ禁じ手に近いようなことをやってくる。下手なこと書くと初見時の面白みを損ねかねないので見てほしい。でもなるべく「たまこまーけっと」を見た後に見て!

4月分ピックアップ

学校が始まって忙しくなってしまいアニメが全然見れなかった。代わりに映画をよく見ていた。

mid90s

友達におすすめされてみた映画。良かった。

90年代が舞台のスケートボードに乗る少年の成長を描いた映画ということで、その文化の畑の人間にしか分からないカルチャー映画だと思っていたけど、案外共感できる部分が多くて安心した。

実際のプロスケーターが主人公の兄貴分的な役で出てくるので、素人の僕が見ていてもスケートボードのシーンはかっこいいと感じた。フィルムを使って撮影してるから画面の質感も雰囲気に一致していて良かった。

だけどもカッコいい映像の背景に、ちょっぴり切なさを抱えた映画だと感じた。モラトリアムを生きる若者が共通の趣味を持つ仲間と集まって時間を共にする。家族や学校の友達とも違う心からの連帯を手に入れる。使う言葉や聴く音楽を真似してみたりする。無理に意地を張って大怪我をする。だけども結局才能や出自の差でグループがまた離れてしまいそうになる。ぐさっときた。

映画としては連帯を確かめ合うようなラストに持っていってくれるんだけど、それはあくまで卒業アルバムや文化祭に近い刹那的な連帯で、その先にある友との離別のことを想像せざるを得なかった。この離別は別にネガティブな意味合いではなくて、成長の結果としての独立といった方が正確かも。

自分も中学生の時に僕の周りにもレイみたいな年齢差の頼れるメンターがいてくれたら良かったなと思う。ないものねだりかもね。

犬神家の一族

期待していた以上に面白かった。以下ネタバレあり。

まず大家族の相続を扱ったミステリーがウケたということに時代の違いを感じた。公開当時は劇中のような貴族的な世界観に生きる人間が現実にいたんだと思う。大規模なお家騒動を扱ったドラマって、最近は日本よりも韓流ドラマとかの方が多いんじゃないかと思う(適当)。

あと第二次世界大戦が話全体に暗い影を落としているのも見どころだと思う。犬神家の発展も戦争無くして有り得なかったし、メインのトリックも静馬に戦争で負った傷があったから成立したことである。また人殺しという行為が戦争によって相対化されているせいか、現代的なドラマで起きる殺人よりも軽く見ることができるのも新鮮?だった。今思うと怖いことだと思う。

最終的に純愛と親子愛が全てに勝ち、妾の家系である青沼の静馬は非業の死を遂げるわけで、良くも悪くも大衆映画だなと思った。

闇金ウシジマくん 1~final

面白かった。原作のエピソードを抜粋して作られた映画だったけど十分楽しめた。

前に「ナニワ金融道」っていうサラ金業界を舞台にした漫画を読んだことがあって、その頃に感じた人の温かみみたいなものが極限まで削ぎ落とされたような感覚があった。

ナニワの方は利息制限法が改正される前の昭和が舞台で、消費者金融が堂々とグレーな商売をやることができた時代の話だった。社会的に信用がない人間でも借金が気軽にできたし、運が良ければ底辺を脱出することもできたのかもしれない。実際そういった希望の見える?話も多かった。

対照的にウシジマくんはとことん悲惨な話が多くて気が滅入った(面白いんだけど)。2の冒頭で六角精児が演じるサラリーマンが言ってた通り規制強化によって銀行系列以外の消費者金融は商売を続けられなくなり、ウシジマみたいな闇金が跋扈するようになったという背景があるらしい。暴力団を規制法で身動き取れないようにしたせいで、取り締まりできない半グレが幅を利かせるようになってしまった、みたいな話に似ていると思った。

と言う感じで映画の内容以上に日本社会の全体のことについて考える機会になったのでとても社会的に意義のある映画だと思います。

 

以上です。取り上げてないやつで書きたいことが浮かんだら追記するかもしれない。